大網静脈内腫瘍栓が胃および結腸への直接浸潤を来した肝細胞癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Hepatocellular carcinoma with direct invasion to the stomach and the colon of the tumor thrombus in the epiploic vein
  • 症例報告 大網静脈内腫瘍栓が胃および結腸への直接浸潤を来した肝細胞癌の1例
  • ショウレイ ホウコク ダイモウ ジョウミャク ナイ シュヨウセン ガ イ オヨビ ケッチョウ エ ノ チョクセツ シンジュン オ キタシタ カン サイボウガン ノ 1レイ

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抄録

症例は69歳,男性.C型肝炎併存肝細胞癌に対して6年前より計8回の肝動脈化学塞栓術(以下,TACE)が施行された.8回目のTACE施行時の血管造影検査,CT検査にて腫瘍の胃壁内浸潤を疑われた.胃内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部に易出血性の3型病変を認めたため,出血コントロール目的にて手術を施行した.術中所見でS5肝表面に約2.5 cmの腫瘍を認め,同部位に大網が被覆し,この大網内の静脈から連続して右胃大網静脈が著明に拡張し,胃前庭部の腫瘍に連続していた.この静脈内は腫瘍栓が充満し,静脈腫瘍栓の横行結腸への浸潤も認めたため,肝S5部分切除,幽門側胃切除および横行結腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検査にて大網静脈内腫瘍栓が胃および結腸への直接浸潤を来した肝細胞癌と診断した.<br> 肝細胞癌の消化管への転移は比較的稀であり,その予後は極めて不良である.本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.<br>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 52 (5), 314-321, 2011

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (31)*注記

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