妊娠中に発症した重度顔面神経麻痺(Bell麻痺)に大三五七散料と香蘇散の併用が奏効した一例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Severe Bell Palsy Successfully Treated with Daisangoshichisanryo and Kososan during Pregnancy
  • 臨床報告 妊娠中に発症した重度顔面神経麻痺(Bell麻痺)に大三五七散料と香蘇散の併用が奏効した一例
  • リンショウ ホウコク ニンシン チュウ ニ ハッショウ シタ ジュウド ガンメン シンケイ マヒ Bell マヒ ニ ダイ サンゴシチサンリョウ ト コウソサン ノ ヘイヨウ ガ ソウコウ シタ イチレイ

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抄録

一般に顔面神経麻痺の中でBell麻痺は約70%が自然治癒し,残りはステロイドや抗ウイルス剤(アシクロビル)療法でほとんどが軽快するとされているが,極数%の重症例では西洋医学的治療が無効である。顔面麻痺の遺残や麻痺が改善しても病的共同運動などの後遺症が生じ,患者にとっても特有な顔面の容貌のため,多大にQOLを損ねる結果となる。<BR>症例は29歳,初産婦。既往歴に特記すべきことなく,妊娠中も特に異常はなかった。妊娠35週の寒い早朝,突然,右顔面神経麻痺が発症した(麻痺スコア0/40)。耳鼻咽喉科でステロイド治療されるも効果なく,自然分娩した。分娩後,漢方治療を開始した。葛根湯と香蘇散の併用,柴苓湯と香蘇散の併用で2ヵ月にわたり順次治療するも無効のため大三五七散料と香蘇散の併用に転方した。2週間後には閉眼,開眼がスムーズになり,ほぼ1ヵ月で治癒し廃薬となった。<BR>今回,妊娠中に西洋医学的治療に難渋した顔面神経麻痺に漢方治療を行い,大三五七散料と香蘇散の併用が奏効した一例を経験したので報告する。

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参考文献 (24)*注記

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