イネ冠根形成の誘導過程を制御する分子機構

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タイトル別名
  • Molecular mechanisms of crown root initiation in rice

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抄録

イネはいわゆる“ひげ根状根系”を形成し,地上部の基部茎葉節から数多くの不定根 (冠根) を発生させる.根の発生はオーキシンにより正に,またサイトカイニンにより負に制御されるが,その分子機構は未解明のままである.そこで著者らの研究グループでは冠根数が著しく減少するイネcrl変異体を材料とし,その中でも冠根原基形成の最も初期段階であるinitiationの過程が阻害されるcrl1, crl4およびcrl5変異体を用いた解析を行ってきた.その結果,CRL4/OsGNOMはオーキシン極性輸送に関与する因子をコードし,基部茎葉節への適切なオーキシンの輸送とinitiation領域での局所的なオーキシンの蓄積を確立することで冠根原基の発生を促すことが考えられた.またCRL1/ARL1およびCRL5はオーキシンシグナル伝達を制御するARFに直接的に発現を誘導され,最終的に冠根形成を正に制御する遺伝子であるということが示唆された.このうちCRL5はサイトカイニンシグナル伝達を負に制御することにより冠根形成を促すことが判明し,オーキシンシグナル伝達とサイトカイニンシグナル伝達を仲介する重要な機能を担うことが示された.

収録刊行物

  • 根の研究

    根の研究 20 (2), 61-71, 2011

    根研究学会

参考文献 (83)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679418218752
  • NII論文ID
    10029355161
  • NII書誌ID
    AA11272904
  • DOI
    10.3117/rootres.20.61
  • ISSN
    18807186
    09192182
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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