脳梗塞における虚血性脳損傷の病態と防御に関する研究

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タイトル別名
  • Pathology and protective strategy for ischemic brain injuries with cerebral infarction
  • ノウコウソク ニ オケル キョケツセイ ノウ ソンショウ ノ ビョウタイ ト ボウギョ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

脳梗塞急性期の病態解明の発展と共に, フリーラジカルなどの神経細胞傷害を惹起する物質の制御をターゲットとした脳保護薬の創薬研究が進められている. しかしながら基礎研究の有効性が, 臨床に反映されて実用化される薬剤は非常に数少ない. これまでの創薬から視点を変え, 既存の薬剤における脳保護作用の探索も重要な創薬の戦略の一つと考えられる. 以上の観点から, われわれは脳梗塞の病態と防御に関して酸化ストレスと炎症反応に着目した基礎研究を継続している. また, 脳梗塞随伴症状の認知機能障害, 嚥下障害, およびうつ状態に関する機能障害のメカニズムの解明を目的として, 動物モデルを用いた研究を進めている. さらに, 急性期から慢性期の脳虚血の病態にかかわる分子を標的とし, 様々な薬剤の脳保護作用を検討し有効性を報告している. これからの脳保護の在り方としては, 脳虚血により誘導される傷害因子を抑制するとともに, 脳の生理的機能を維持する治療薬の開発と治療法の確立が重要な課題である. 脳保護療法の展望としては, 神経細胞のみならずグリア細胞や血管内皮細胞といった脳組織全体を保護する薬剤の登場が待ち望まれる.

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参考文献 (47)*注記

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