非硬変肝に多中心性に発生したNASH由来肝細胞癌の2例

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タイトル別名
  • TWO CASES OF MULTICENTRIC HEPATOCELLULAR CARCINOMA ARISING FROM NONALCOHOLIC STEATOHEPATITIS (NASH) WITHOUT ADVANCED FIBROSIS

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抄録

非硬変肝に多中心性に発生したNASH由来肝細胞癌の2例を経験したので報告する.症例1は69歳,女性.初回病変は肝後区域4cmの低分化肝細胞癌で,背景肝はBrunt分類Stage 1の線維化が軽度なNASHであった.術後8カ月で肝S3に径2cmの再発結節を認め,肝部分切除を施行した.病理学的には比較的早期の高分化肝細胞癌で,背景肝は体重減少に伴い脂肪化がほぼ完全に消失し,炎症と線維化のみが残存していた.症例2は,65歳,男性.肝S8に同時性に2個の早期肝癌が発生し,うち一つは細胆管細胞癌様のコンポーネントを有していた.背景肝はStage 1のNASHであった.一般的にNASH由来の肝細胞癌は硬変肝を背景に発生すると考えられているが,肝硬変に至らなくとも,あるいは肝の脂肪化が改善しても肝癌を発生する例が存在する.したがって,NASH例では線維化や脂肪肝の程度に関わらず,腹部超音波検査などによる定期的なフォローアップが重要と考えられた.

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