飼料イネ生産と結びついた肉用繁殖生産システムの窒素の利用性と循環性に関するモデル分析

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タイトル別名
  • Modeling approach for nitrogen use efficiency and cycling in beef cow-calf production systems integrated with forage rice production
  • シリョウ イネ セイサン ト ムスビツイタ ニクヨウ ハンショク セイサン システム ノ チッソ ノ リヨウセイ ト ジュンカンセイ ニ カンスル モデル ブンセキ

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抄録

日本では近年,米消費の減少によって過剰の水田が増加している.その過剰の水田を利用して,飼料用のイネを栽培し,また家畜からの糞尿を堆肥として農地に還元する試みがなされている.そのようなシステムにおいては,飼料イネが稲発酵粗飼料(WCRS)として,家畜に給与されている.本研究の目的は,(1)飼料イネ生産と結びついた肉用繁殖生産システムに関するシミュレーションモデルを開発し,(2)そのモデルを利用して,そのようなシステム内における窒素の流れと循環を定量化し,(3)窒素の流れや窒素利用効率,循環性に対する飼料イネの生産とWCRSの栄養価の影響を調べる3つのシナリオを分析することであった.本研究ではまず,繁殖雌牛とその後代子牛の生涯のエネルギー要求量を,2000年版飼養標準(肉用牛)をもとに決定し,WCRSを含む給与飼料は2006年に出版された稲発酵粗飼料の生産・給与技術マニュアルに従って設定した.WCRS摂取量および窒素の摂取量と排泄量は日ベースで計算し,それらをもとに生産システム内の窒素フローとバランスを算出した.次に3つのシナリオ(飼料イネの単収の増加,WCRSの粗タンパク質含量とTDN含量の増加)を想定して,それらのシナリオが窒素管理に及ぼす影響をシミュレーションによって評価した.その結果,飼料イネの単収の増加やWCRSの粗タンパク質含量の増加がシステム内の窒素利用効率や循環率を低下させることが示唆された.特に,飼料イネの単収の増加は経済的には正しい選択であると考えられるが,本研究の結果は経済的な最適化と窒素管理の最適化が異なる可能性を示唆しているものと推察された.

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