第112回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム 人工聴覚器の将来--人工内耳--低侵襲,残存聴力温存へ向けた新たな取り組み

  • 岩崎 聡
    信州大学医学部附属病院人工聴覚器学講座
  • 茂木 英明
    信州大学医学部附属病院人工聴覚器学講座 信州大学医学部耳鼻咽喉科
  • 工 穣
    信州大学医学部附属病院人工聴覚器学講座 信州大学医学部耳鼻咽喉科
  • 宇佐美 真一
    信州大学医学部耳鼻咽喉科

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  • 人工聴覚器の将来  人工内耳~低侵襲,残存聴力温存へ向けた新たな取り組み
  • ダイ112カイ ニホン ジビ インコウカ ガッカイ ソウカイ シンポジウム ジンコウ チョウカクキ ノ ショウライ ジンコウ ナイジ テイシンシュウ ザンソン チョウリョク オンゾン エ ムケタ アラタ ナ トリクミ

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Abstract

既存の補聴器の装用が困難な高音急墜型感音難聴に対し, 言葉の聞き取りが改善できる新たな方法が残存聴力活用型人工内耳 (electric acoustic stimulation: EAS) である. 蝸牛内に電極を挿入し, 電気刺激する装置と外耳道から音響刺激する装置からなり, 高度難聴の中・高音部を人工内耳で, 残聴のある低音部を音響刺激で聞き取るシステムである. 直接的な機械的組織損傷を最小限にするため, 電極の先端がより柔軟になるよう改良が進められ, また手術時に聴力温存の観点からできるだけ蝸牛基底回転の損傷を避けることが重要となる. 正円窓アプローチによる電極挿入法がより蝸牛へ低侵襲であると思われる. 海外の術後聴力温存率は80~100%であり, EAS装用による単音節聴取能の大幅な改善が確認され, その有効性が認められている. 聴力温存成績向上のため, 蝸牛損傷を軽減するためのdrug delivery systemの応用, さらなる電極の改良が必要と思われる. 難聴の原因によっては内耳の脆弱性により聴力の温存が困難な場合や難聴の進行が考えられる. 事前にこれらを予測するためにも難聴遺伝子検査が有効になっていくと思われる.

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