書誌事項
- タイトル別名
-
- Functional Evaluation of Mouth Breathers and Dentofacial Structures
- クチ コキュウシャ ノ キノウテキ ヒョウカ ト ガク ガンメン ケイタイ ノ トクチョウ
この論文をさがす
抄録
発育期の常習的な口呼吸は,顎顔面および歯列伵合の成長発育に影響を与え,上顎前突や開伵などの伵合異常を引き起こすと言われてきた.しかし,ヒトを対象とした口呼吸は,主に問診票により判断され,口呼吸がもたらす顎顔面形態形成への影響や不正伵合の発症との根拠は統一した見解が得られていない.本研究の目的は,呼吸様式を客観的に評価したうえで口呼吸者の鼻腔通気抵抗の大きさや口唇閉鎖機能不全などの機能的特徴,およびアンケート調査に対する回答との関連性を検討するとともに,口呼吸者の顎顔面形態の特徴を明らかにすることである. 被験者は本学附属病院矯正科に来院した成人患者30名と成人ボランティア10名で,CO₂センサ(OGS-2002日本光電)を用いて呼吸様式を判定した.(1)側面頭部X線規格写真による顎顔面形態の評価(2)ホルター筋電計 (ME3000 Thought Technology)を用いた口唇閉鎖機能の判定(3)鼻腔通気度計(MPR-3100日本光電)を用いた鼻 腔通気抵抗の測定(4)呼吸に関するアンケート調査を行い,呼吸様式との関連性を検討し以下の結果を得た. ・口呼吸者群は,開伵傾向の顎顔面形態の特徴を有する. ・IL群は口呼吸者群と同様に,開伵傾向の顎顔面形態の特徴を有する. ・アンケートで“無意識のうちに口が半開きになっている”と回答したものは,口呼吸群とIL群に多かった. 以上のことから,口呼吸は顎顔面の垂直的大きさに開伵傾向の影響を与えincompetent lipを引き起こす可能性があり,口呼吸の原因を早期に除去することは不正伵合の予防と抑制を行い,顎顔面の成長発育を正しく誘導する一助となることが示唆された.また,“無意識のうちに口が半開きになっている”という設問は,矯正治療を行う上で重要な項目の一つであることが示唆された.
収録刊行物
-
- 九州歯科学会雑誌
-
九州歯科学会雑誌 66 (1), 11-20, 2012
九州歯科学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390581456538736640
-
- NII論文ID
- 10030138720
-
- NII書誌ID
- AN00054335
-
- ISSN
- 18808719
- 03686833
-
- NDL書誌ID
- 023754376
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可