前方開放型両眼同時波面収差測定の応用

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抄録

両眼視機能に関しては、従来から臨床的あるいは研究的に多くのことが調べられている。たとえば、両眼視の特徴的な機能である奥行き知覚については、昨今の立体テレビの発売などから注目されるところである。臨床的には斜視や複視との関係で、検査法が開発されている。正常眼においても、最適な屈折矯正を提供するために、両眼視機能の理解とその検査は重要と考えられる。しかし両眼の検査は、めがね処方時の掛け枠検査などのような自覚的な検査は行なわれているが、屈折における他覚的な両眼視検査はほとんど行なわれていない。通常の他覚屈折検査においては、片眼で被検者の遠点を測定する検眼により処方を決めるという方法をとられており、両眼の検査は最後の自覚的な確認のみである。もともとの屈折矯正の目的は、近視、遠視、乱視を矯正して、良好な網膜像を形成できるようにして、知覚・認知に必要な外界の情報を網膜に的確に伝達可能にすることである。自覚的な検査は重要であり効果的でもあるが、良好な網膜像の形成が光学的な最終目標と考えると、その網膜像を他覚的に調べてみたくなる。屈折の両眼バランス、斜視、斜位の影響、調節の介入、ラグ、リード、さらに収差の影響など、実際に検査しないと分からないことも多い。そこで我々は、前方開放型で両眼の調節・輻輳・瞳孔径+収差を測定できるシャックハルトマン波面センサーベースの装置を開発した。装置は実時間的な測定も可能であり、調節微動の影響も評価できる。両眼間での調節微動の相関や瞳孔の変動などの動的な特性は自律神経系の評価となり、眼精疲労との関連もある。疲労との関係では、屈折の状態から良好な網膜像が形成できない、ぼけた状態も疲労の原因となるかもしれない。両眼の屈折検査、そして動的な神経系も含む検査装置として、我々の開発した両眼波面センサーを紹介する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679224556032
  • NII論文ID
    10030281437
    130004552611
  • NII書誌ID
    AN10084015
  • DOI
    10.4263/jorthoptic.040s104
  • ISSN
    18839215
    03875172
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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