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- 佃 守
- 横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
書誌事項
- タイトル別名
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- 第112回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム 頭頸部癌治療の新展開 : 非外科的アプローチを中心に : 機能温存を目的とした頭頸部進行癌治療 化学療法同時併用放射線治療
- ダイ112カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シンポジウム アタマ ケイブガン チリョウ ノ シン テンカイ : ヒゲカテキ アプローチ オ チュウシン ニ : キノウ オンゾン オ モクテキ ト シタ アタマ ケイブ シンコウガン チリョウ カガク リョウホウ ドウジ ヘイヨウ ホウシャセン チリョウ
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抄録
頭頸部は鼻・副鼻腔, 口腔, 咽頭, 喉頭など多臓器からなる領域である. 病理組織学的に全頭頸部癌の90%は扁平上皮癌であり (以下, 頭頸部癌), その80%近くがstage III/IVの進行癌で, また活動性の同時重複癌が多い. さらに頭頸部癌症例は高齢者また重症合併症を持つ症例が多く, 強力な治療が選択できないため, こうした症例に対する機能温存の工夫も大切と考える.<br>頭頸部癌に対する機能温存を目的とする化学療法としては, 一次治療ですべての治療に先行するneoadjuvantあるいはinduction chemotherapy (NACまたはIC), 放射線治療と化学療法を同時併用するconcurrent chemoradiotherapy (CCRTまたはCRT) がある.<br>1970年代後半から臨床応用され, 頭頸部癌に有効性が認められたcisplatinの出現, また5-fluorouracilの大量療法との併用療法の開発によって, 化学療法を加えた集学的治療が施行され, 機能温存が図られてきた. この2剤にさらにtaxane系の薬剤を加えた併用療法のレジメンが開発され, その有用性が証明されている.<br>抗腫瘍性の高い化学療法を併用すると, 高度の有害事象の発現を招くため, 予防を含め十分な有害事象対策を行うことが不可欠であり, 重症な有害事象は予後悪化因子となり治療完遂率を低下させる.<br>CCRT後に腫瘍が残存した場合, あるいは再発腫瘍にはsalvage surgeryが必要となる. 機能温存で用いた放射線治療と化学療法は全身状態だけでなく, 局所の浮腫や瘢痕を招き, 切除に際して各層の剥離が難しくなる. さらに創傷の治癒に関して, 低血流・低酸素化, 局所免疫能低下による創傷治癒の遅延, 感染などに十分な配慮が不可欠である.
収録刊行物
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- 日本耳鼻咽喉科学会会報
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日本耳鼻咽喉科学会会報 114 (12), 897-904, 2011
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205011753344
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- NII論文ID
- 10030285640
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- NII書誌ID
- AN00191551
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- ISSN
- 18830854
- 00306622
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- NDL書誌ID
- 023403622
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可