香川県綾川町ボーリングコアの花粉分析による最終氷期以降の古植生

書誌事項

タイトル別名
  • Paleovegetation since the last glacial age based on pollen analysis of a drilling core from Ayagawa Town, Kagawa Prefecture, southwest Japan
  • カガワケン アヤガワマチ ボーリングコア ノ カフン ブンセキ ニ ヨル サイシュウヒョウキ イコウ ノ コショクセイ

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抄録

香川県綾歌郡綾川町の綾川中流域で採取した8mのボーリングコアを岩相に基づいて下位より9層(No. 9~No. 1)に区分し,年代測定,花粉分析を行った.年代測定結果から,コア深度8.00~3.55mは上部更新統,コア深度3.55mより上部は完新統と判明した.花粉分析結果から,最終氷期中期はQuercus subgen. Lepidobalanus(コナラ属コナラ亜属)を主とする落葉広葉樹林が分布する冷涼な環境が,後氷期前期はQuercus subgen. Cyclobalanopsis(コナラ属アカガシ亜属)を含む落葉広葉樹林主体のやや冷涼な環境が,そして後氷期後期には温帯針葉樹を含むCyclobalanopsis優占の照葉樹林が分布する温暖な環境が推定できた.この傾向は既存の瀬戸内地域における古植生研究の結果とおおむね一致する.この地域の特徴として,後氷期後期にはCastanopsis(シイ属)がほとんど産出しない.これは,この地域の試料採取上流域からのCastanopsis供給が少なく,瀬戸内海地域の中でも年間降水量が1,200mm以下と少ない乾燥した地域であるためと考えられる.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 51 (1), 35-43, 2012

    日本第四紀学会

参考文献 (32)*注記

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