Influence of the Urban Heat Island Phenomenon in Tokyo on the Local Wind System at Nighttime in Summer

この論文をさがす

抄録

 本研究は,2003年と2004年の2年間の夏季の観測データをもとに,東京のヒートアイランド(UHI)現象が局地風系に及ぼす影響を解析した。本研究では,東京の高密度観測システム(METROS)のデータを基本的に使用した。本研究は,夜間のUHIに大きな影響があると考えられる,夜間の局地風系にとくに焦点を当てた。本研究では,最初に昼夜の局地風系の交替が起こった日で事例解析を行った。次に,2年間の夏季のデータで合成図解析を行った。本研究の結果は以下のようにまとめられる。<br> 局地風系の挙動が,東京の気温分布と密接に関連していることがわかった。沿岸部での夜間の北寄りの風の風速と継続時間は,北部や都心部と比べてずっと弱く短かった。気温勾配と南北風速との関係から,夜間に気温勾配が小さい東京のUHIの中心付近に,静穏域の存在が予想された。静穏域の存在は事例解析で確認された。静穏域の形成は,UHIによる風の収束に起因すると考えられる。<br> 事例解析でみられた静穏域は,11日間の昼夜の局地風系の交替が起こった日の合成図解析でも深夜から早朝にみられた。さらに,静穏域は夜間の風速が小さい47日間の弱風日(2年間の7月と8月の38%)の合成図解析でもみられ,夏季に東京で一般的に存在する現象であることが示唆された。

収録刊行物

  • 地学雑誌

    地学雑誌 120 (2), 341-358, 2011

    公益社団法人 東京地学協会

被引用文献 (6)*注記

もっと見る

参考文献 (45)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ