人工信号源電磁探査法の海底熱水鉱床への適用可能性

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タイトル別名
  • Feasibility study of marine controlled-source electromagnetic sounding for submarine massive sulphides explorations
  • ジンコウ シンゴウ ゲン デンジ タンサホウ ノ カイテイ ネッスイ コウショウ エ ノ テキヨウ カノウセイ

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抄録

これまで行われてきた人工電流源海洋電磁探査 (CSEM) 法では調査船と深海曳航体を同軸ケーブルで結び,その後方にケーブルを用いて送信電極を曳航する方式が用いられていた。しかし,この方式では海底熱水鉱床域を調査する際に見られる大小の海底地形の起伏のため,海底面からケーブルを離して曳航する。このため,従来の方式では海底下直下の地下構造の情報を得にくいという問題点がある。本研究では自律型無人探査船 (AUV) を2台用いたCSEM法探査を行い,この問題を克服することを提案する。この方式では,海底地形の起伏に影響されることなく海底面から一定の高度を保ちながら有効な電磁探査を行うことができる。<br>  CSEM法では,探査方向に対して送受信ダイポールをどのように配置するかにより電磁場の大きさや空間分布は変化する。このため,送信ダイポールと受信器をどのような位置関係にすると低比抵抗体を含む海底下構造を推定しやすいかを予め検討しておく必要がある。本研究では,2.5次元有限要素法を用いた電磁場解析を行い,AUVを2台用いた新しいCSEM法の実現可能性について検討した。<br>  その結果,送信電極が海底熱水鉱床の直上を通過するときに観測される電磁場は,遠方の観測点を含めて全体的に減少することが明らかとなった。また,遠方の電磁場の減衰量は海底熱水鉱床の厚みと比例関係にあることが明らかとなった。AUVによるノイズの影響を考慮しても,電流源から最大で200m離れた位置でも電磁場を検出可能であることがわかった。<br>  以上の結果を踏まえると,(1) 送信源の位置と電磁場の異常を観測することで海底熱水鉱床の存在域を,(2) 電磁場の減衰量を観測することで海底熱水鉱床の厚みを検知できる可能性がある。これによりAUVを2台用いた新しいCSEM法で海底熱水鉱床が作る電磁場の異常を探知可能となることが示唆される。<br>

収録刊行物

  • 物理探査

    物理探査 64 (4), 243-254, 2011

    社団法人 物理探査学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (34)*注記

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