環境懐疑派の意見への接触が人々の環境配慮行動に及ぼす効果の検討

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タイトル別名
  • The Examination of the Effects of Hearing Skeptical Opinions on Pro-environmental Behavior
  • カンキョウ カイギハ ノ イケン エ ノ セッショク ガ ヒトビト ノ カンキョウ ハイリョ コウドウ ニ オヨボス コウカ ノ ケントウ

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抄録

環境問題への意識の高まりに比べて,環境にやさしい行動をあまり実行しないことがかねてより報告されている。その原因の1つとして,環境問題に関する意見が分かれていることが挙げられ,特に近年,環境懐疑派と呼ばれる環境問題や環境にやさしい行動に関して否定的・疑問を投げかける論者の意見がメディアで取り上げられることが多い。本研究では環境懐疑派の意見への接触が人々の環境配慮行動にどのような効果を及ぼすのかを以下の仮説を立てて実証的に検討した。<BR>仮説1「批判のある環境配慮行動に関して,環境懐疑派の意見への接触と環境への関与の交互作用効果がみられる」<BR>仮説1-a「環境への関与が高いと,環境懐疑派の意見と接触するほど,批判のある環境配慮行動を抑制する傾向がある」<BR>仮説1-b「環境への関与が低いと,環境懐疑派の意見への接触は,批判のある環境配慮行動に影響を及ぼさない」<BR>仮説2「批判のない環境配慮行動に関して,環境懐疑派の意見への接触と環境への関与の交互作用効果がみられない」<BR>2009年に東京都板橋区にて郵送調査を行った結果,環境懐疑派の意見への接触は批判のある環境配慮行動でのみ交互作用効果が見られ,批判のない環境配慮行動には効果を持たなかった(仮説1,仮説2支持)。また,環境への関与との交互作用効果の事後分析を行った結果,環境への関与が高い人ほど,環境懐疑派の意見に接触すると,批判のある行動を抑制する傾向が見られた(仮説1-a支持)。一方,環境への関与が低いと,環境懐疑派の意見に接触するほど,環境配慮行動を促進する傾向が見られた(仮説1-b不支持)。仮説1-bが支持されず,環境配慮行動を促進する傾向が見られた理由としては,単純接触効果など副産物的な効果の可能性が考えられる。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 25 (3), 184-191, 2012

    社団法人 環境科学会

参考文献 (18)*注記

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