3日間で偽腔内血栓が著明に縮小した孤立性上腸間膜動脈解離の1例

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タイトル別名
  • A Case of Spontaneous Isolated Dissection of the Superior Mesenteric Artery which Improved Within a Few Days

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抄録

症例は61歳,男性。軽い運動後より心窩部痛と下痢,嘔吐が出現し,当院へ救急搬送となった。来院時の理学的所見は,心窩部に軽度の圧痛を認めるものの,腹膜刺激症状は認められなかった。腹部CT検査にて小腸の広範囲な浮腫性変化を認め,急性腸炎の診断にて禁食補液目的で入院となった。入院後は腹満感を覚えるのみであったが,第2病日には症状は消失していた。また同日,非常勤放射線科読影医より,孤立性上腸間膜動脈解離による上腸間膜動脈の血栓性閉塞を指摘された。第3病日に施行した腹部CT検査では,偽腔内の血栓は著明に縮小し,上腸間膜動脈の再開通も認められ,小腸の浮腫性変化も消失していたため,経口摂取を開始し第9病日に退院となった。孤立性上腸間膜動脈解離はまれな疾患であり,また偽腔の消失には6ヵ月以上かかることが多いと報告されている。今回われわれは結果的にではあるが,ほぼ無治療のまま3日間で偽腔内血栓が著明に縮小した症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。

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参考文献 (11)*注記

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