術前診断しえた特発性胆嚢穿孔の1例─本邦報告症例のまとめ─

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Preoperative Diagnosis of Spontaneous Gallbladder Perforation

この論文をさがす

抄録

患者は68歳,男性。右季肋部痛を主訴に前医を受診,急性胆嚢炎の診断で入院治療されたが症状は改善せず,当院を紹介され受診した。来院時すでに腹膜刺激症状を呈していた。前医施行の腹部CT検査および当院初療室で施行した腹腔穿刺により,胆嚢穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急開腹手術を施行した。胆嚢体部に約3mmの穿孔部を肉眼的に確認し,そこからの胆汁漏出と腹腔内の胆汁性腹水の中等量貯留を認めた。手術は胆嚢摘出,腹腔ドレナージを行った。胆嚢内に結石はなく病理検査では胆嚢炎の所見は乏しくかつ穿孔部近傍の血管内血栓等の穿孔の原因は認められなかった。術後人工呼吸管理およびエンドトキシン吸着療法(polymyxin Bimmobilized fiber column:PMX)を行ったが,経過良好で術後第11病日に軽快退院となった。free airを伴わず胆嚢周囲の腹水貯留を認める汎発性腹膜炎症例では,本疾患も念頭においておく必要があると考えられた。

収録刊行物

参考文献 (44)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ