胎児病態から見た帝王切開

書誌事項

タイトル別名
  • Cesarean Birth Due to Fetal Indications

この論文をさがす

抄録

  3次医療施設である宮崎大学の検討では,帝王切開の20~25%は胎児適応であり,胎児心拍数モニタリング異常が最も多く,次に胎児発育遅延である.宮崎県のpopulation-based研究でも胎児適応で母体搬送される1/3は胎児心拍数モニタリング異常である.この病態の背景には,胎児-胎盤系の低酸素症や循環不全が存在している.その中には常位胎盤早期剥離に代表されるように非常に急激な変化をきたす病態もあれば,一方,軽度の胎児発育遅延のように慢性的な軽度の低酸素血症が主体である場合もあり,そのタイムコースはさまざまである.そこで産科医は,症例の持つハイリスク因子と胎児心拍数モニタリング所見をもとに,胎児低酸素症の重症度と,今後に悪化するタイムコースを予測し,帝王切開の緊急度を決定している.ここで重要な点は,産科医の想定している緊急度と,実際に麻酔をかける麻酔科医が判断した緊急度とが一致しているか,すなわち多診療科間で共通認識が得られているか,である.今回,自験例をもとに胎児適応での帝王切開の現状と,麻酔に伴う児の臍帯動脈血液ガス所見と,産科医が緊急度を決定する際の方法を紹介し,多診療科間で共通認識を持つための資料を提供することを目的として解説する.

収録刊行物

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ