尿素処理を施した活性炭素繊維によるCd(II)の吸着

  • 古宿 麻美
    千葉大学大学院工学研究科
  • 大場 友則
    千葉大学大学院理学研究科
  • 天野 佳正
    千葉大学大学院工学研究科 千葉大学総合安全衛生管理機構
  • 町田 基
    千葉大学大学院工学研究科 千葉大学総合安全衛生管理機構

書誌事項

タイトル別名
  • Adsorption of Cd(II) onto Activated Carbon Fiber Prepared by Urea Treatment
  • ニョウソ ショリ オ ホドコシタ カッセイ タンソ センイ ニ ヨル Cd(Ⅱ)ノ キュウチャク

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抄録

窒素含有活性炭はカチオンの吸着などさまざまな分野へ応用が可能な材料として期待される.活性炭に窒素官能基を導入する方法として大きく二種類あり,活性炭の調製において窒素を多く含む前駆体を用いる方法と活性炭を窒素で修飾する方法である.本研究では,前駆体に窒素を多く含むポリアクリロニトリル繊維(N: 25 wt%)を用いて活性炭素繊維を調製した.調製したポリアクリロニトリル活性炭素繊維を空気酸化した後,窒素媒体に尿素を用いてさらに窒素官能基を導入した試料も作製した.活性炭の表面分析から,尿素処理を施すことでカチオン吸着に対して斥力となる正電荷の酸化窒素が減少し,引力となる負電荷の塩基性窒素の割合が相対的に増加した.調製した活性炭素繊維の吸着性能を評価するために,水溶液中のCd(II)吸着実験を行った.その結果,窒素をほとんど含まない市販の活性炭素繊維と比べてポリアクリロニトリル活性炭素繊維でCd(II)イオンの吸着量が約1.3倍,つづく尿素処理でさらに約1.5倍に増加した.Cd(II)吸着に対する芳香族化合物の共存効果を調べたところ,Cd(II)は官能基を持たない市販の活性炭へはπ電子雲へ,塩基性窒素・酸素を持つ活性炭はπ電子雲および特定のサイトへ吸着することがわかった.この特定のサイトは金属イオンのみ吸着して,芳香族化合物による吸着阻害を受けないことから,水処理における従来の活性炭以上の効果が期待できる.

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参考文献 (48)*注記

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