肝門部胆管癌に対する術前胆道ドレナージ術

  • 河上 洋
    北海道大学大学院 医学研究科内科学講座 消化器内科学分野
  • 加藤 元嗣
    北海道大学病院 光学医療診療部
  • 平野 聡
    北海道大学大学院 医学研究科外科学講座 消化器外科学II分野
  • 坂本 直哉
    北海道大学大学院 医学研究科内科学講座 消化器内科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • PREOPERATIVE BILIARY DRAINAGE FOR HILAR CHOLANGIOCARCINOMA

この論文をさがす

抄録

肝門部胆管癌(hilar cholangiocarcinoma:HCA)に対する術前胆道ドレナージ術(preoperative biliary drainage:PBD)は必要なのか?といったクリニカルクエスチョンに対する明確な答えはいまだない.近年,膵頭十二指腸切除術施行に際しては,PBDは必要ない,とのコンセンサスが得られつつある.しかし,広範囲肝切除術を施行した肝門部胆管癌では術後合併症による死亡率が5%前後と高率であり,それらの主な死因が肝不全であることから,現時点では高度黄疸例に広範囲肝切除術を予定した場合にはPBDを行い,肝機能の回復後に手術を行うことが推奨される.しかし,PBDの適応に関しては現在のところ明確な基準はない.HCAに対するPBDには経皮経肝胆道ドレナージ術(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD)あるいは内視鏡的胆道ドレナージ術(endoscopic biliary drainage:EBD)が挙げられるが,これまでに肝門部胆管癌に対するPBDの無作為化比較試験が行われていないこともあり,いずれを行うかについても,いまだ一定のコンセンサスは得られていない.近年,EBDの施行例が増加し,その有用性が報告されつつある.本稿ではPBDの意義,変遷,現状と展望を解説する.

収録刊行物

参考文献 (95)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ