長距離運動地すべりにより形成された地すべりダムの内部構造と安定性について -2008年四川大地震時に発生した天池地すべりダムを例として-

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タイトル別名
  • On the internal structure and stability of a landslide dam formed by long traveling landslide: a case study on Tianchi landslide dam triggered by the 2008 Sichuan earthquake
  • チョウキョリ ウンドウ ジスベリ ニ ヨリ ケイセイ サレタ ジスベリ ダム ノ ナイブ コウゾウ ト アンテイセイ ニ ツイテ : 2008ネン シセン ダイジシンジ ニ ハッセイ シタ テンチ ジスベリ ダム オ レイ ト シテ

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抄録

2008年に発生した四川大地震 (M8.0)により, 60, 000以上の箇所において地すべりや斜面崩壊が発生し, 800個以上の地すべりダムが形成された。これらの地すべりダムは地震災害の復旧・復興に大きな影響を及ぼしたため, 殆どの地すべりダムは応急対策工事により掘削された。従って, ダム決壊による二次災害を回避された。しかし, すべての地すべりダムに対して, 適切な対策が取られたとは言えない。そこで, これらの地すべりダムの形成過程を解明し, 今後より信頼性の高い対策工法を提案するため, 四川大地震により形成された幾つかの地すべりダムについて現地調査および計測を行った。本論では, 四川省綿竹市天池町に形成された地すべりダムに関する調査結果を紹介する。天池の地すべりダムは長距離移動した岩盤崩落により形成されたものであり, ダム堤体において岩屑の粒度偏析現象が発生した。すなわち, ダム堤体の表層はほぼ全体的に大きな岩塊で覆われているが, 下層が粒径の小さい土砂からなっている。ダム堤体のS波速度 (Vs)構造を調べた結果, 同じ地震で別場所において形成され, 対策工事中に決壊した地すべりダムの堤体に対して, 天池のダム堤体内部のVsが全体として高く, ダム堤体が密な状態となっていることが分かった。このような土層構造を持つダム堤体の透水係数は小さく, 浸透流によるダム堤体の決壊が発生しにくいと推察できる。さらに, ダム堤体の表層が大径岩塊により覆われており, 越流侵食に対する抵抗力が大きいことから, 越流発生直後の侵食決壊は生じにくいと考えられる。

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