腹会陰式直腸切断術後の正中創巨大腹壁瘢痕ヘルニアに対する1手術例

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  • A Case of Successful Hernia Repair for Giant Midline Incisional Hernia After Abdomino-Perineal Resection of Rectum

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抄録

症例は79歳女性.2008年に肛門癌(ボーエン病)に対して腹会陰式直腸切断術を施行,その際正中創,会陰創ともに創感染を認めている.術後4カ月頃より腹壁瘢痕ヘルニアを発症したが経過観察していた.ストマは後腹膜経路であり,傍ストマヘルニアは認めなかった.ヘルニア門が徐々に大きくなり,頻尿,腰痛などの症状が出現したため,手術希望で外来受診した.ヘルニア門は臍上から恥骨直上に至り,16cm×9cmであった.手術は前回の正中創に沿って開腹,ヘルニア門周囲の癒着を剝離,恥骨からクーパー靭帯を露出した.ヘルニア門は腹直筋で構成されていた.修復にはComposix EX(25cm×20cm)を使用,固定は2-0プローリン糸で外周スカート部分を10針固定,うち尾側は恥骨および左右クーパー靭帯に1針ずつ固定した.ヘルニア門全周にも2-0プローリン糸12針固定した.メッシュ前面にドレーンを留置,閉創して手術終了した.手術時間220分,出血量40gであった.術後経過は良好で術後第9病日に軽快退院した.現在,ストマに関する問題も特になく,外来通院にて経過観察中である.今回,良好な結果を得られた腹会陰式直腸切断術後の正中創巨大腹壁瘢痕ヘルニアに対する1手術例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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参考文献 (7)*注記

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