皮膚糸状菌のヒト角層での寄生形態の走査型電子顕微鏡観察

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タイトル別名
  • Scanning Electron Microscopic Observation on the Parasitic Form of the Fungi in the Horny Layer in Dermatophytosis
  • ヒフ シジョウキン ノ ヒトカクソウ デ ノ キセイ ケイタイ ノ ソウサガタ デンシ ケンビキョウ カンサツ

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抄録

電子顕微鏡(電顕)は皮膚糸状菌症の病態を解明するために広く用いられてきた.本稿では,走査型電顕や透過型電顕による研究で明らかになった皮膚糸状菌感染症の感染過程や病態について文献的に解説し,臨床病型によってはまだ十分な観察が行われていない角層内での菌糸の寄生形態について,われわれの走査型電顕観察法を紹介する.これまで感染初期に真菌要素が皮膚の表層へ接着し角層内へ侵入する過程を明らかにするために,さまざまな実験モデルが確立され報告されてきた.これらの研究では分節型分生子の角質細胞への接着,発芽,発芽管の伸張,角層内への侵入が電顕により詳細に観察された.皮膚糸状菌感染において宿主と真菌の関係を理解するには,感染が成立した病変部の菌の寄生形態や,角質細胞との位置関係を観察することも重要である.股部白癬や生毛部白癬では,角質剥離法により角層内に寄生・増殖する糸状菌の三次元構造が角質細胞の形態変化とともに観察された.しかし,爪白癬の爪下角層ではこの方法を適用することは困難であり,詳細な走査型電顕観察は行われていなかった.われわれは皮膚糸状菌症の罹患爪や鱗屑を2.5%グルタルアルデヒドで固定した後に,低濃度のアルカリ処理を行い,走査型電顕観察を行っている.この方法により爪白癬,足白癬,頭部白癬とも菌糸の走行や寄生形態,角質細胞との位置関係を明らかにすることが可能で,病態を理解する上で有用である.

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参考文献 (31)*注記

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