チタニア系光触媒による選択的有機変換

  • 白石 康浩
    大阪大学太陽エネルギー化学研究センター 大阪大学大学院基礎工学研究科化学工学領域
  • 平井 隆之
    大阪大学太陽エネルギー化学研究センター 大阪大学大学院基礎工学研究科化学工学領域

書誌事項

タイトル別名
  • Titanium Oxide-based Photocatalysts for Selective Organic Transformations

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抄録

二酸化チタン光触媒は,その強い酸化力ゆえ有機化合物の分解などの反応に広く用いられている。しかし,光触媒反応を有機変換に応用した場合には,目的化合物が選択的に生成しないことや,生成した目的化合物が分解されることも多く,反応の選択性は低い。そのため合成化学の有効な手段としての成果は限られていた。我々はこれまで,二酸化チタンならびにチタン酸化物を光触媒として選択的な有機変換を行う方法の開発に取り組んできた。本稿では,これらの成果について述べる。第一に,細孔を有する二酸化チタンにより基質や生成物の濃縮/排出を制御し,選択的に目的生成物を合成する方法を開発した。第二に,シリカ表面へ固定化した単核チタン酸化物種を利用する光触媒反応により,目的の反応を選択的に進行させる方法を開発した。第三に,二酸化チタン上への金属ナノ粒子の担持により,光触媒反応および触媒反応からなる連続反応を進行させる新たなワンポット有機合成プロセスを開発した。温和な条件下,有害な試薬を必要とせず進行させることのできる光触媒反応は,環境調和型の有機変換を実現する上で多くのメリットを有する。本稿で紹介したチタン酸化物を光触媒とする物質変換技術は環境にやさしい有機合成を実現する鍵となる可能性がある。

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参考文献 (78)*注記

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