ニワトリにおいて視床下部漏斗部に特異的発現を示す新規遺伝子の同定

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タイトル別名
  • Identification of a Novel Gene Differentially Expressed in the Chicken Hypothalamic Infundibulum
  • ニワトリ ニ オイテ シショウカブ ジョウゴブ ニ トクイテキ ハツゲン オ シメス シンキ イデンシ ノ ドウテイ

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抄録

我々は,ニワトリの摂食調節に関わる新規脳内因子を発見する目的で,cDNAサブトラクション法を用いて,摂食調節中枢の一つである漏斗核を含む視床下部漏斗部に高発現する遺伝子を探索した。その結果,神経ペプチドの前駆体タンパク質をコードしていると推定される遺伝子の部分配列を見出した。その塩基配列は,機能未知のタンパク質をコードする遺伝子としてニワトリのゲノムデータベースに登録されている配列と一致した。そこでニワトリ品種間での多型の存在を明らかにするために,卵用鶏と肉用鶏の脳組織から,本遺伝子の翻訳領域の全長をコードするcDNAを単離し,ゲノムデータベース上のcDNA配列と比較した。その結果,卵用鶏では1アミノ酸残基の置換に相当する非同義置換が認められた。その塩基配列から推定されるアミノ酸配列から,前駆体タンパク質は,シグナル配列,神経ペプチド,C末端アミド化シグナル,プロセッシング配列,および,C末端付加配列の構造を有することが推定された。次に,脳内での本遺伝子のmRNA発現分布を解析したところ,視床下部漏斗部にのみ特異的に発現していることが明らかになった。初生ヒナでの視床下部漏斗部におけるmRNA発現量は,卵用鶏での発現量が肉用鶏に比べ約6倍多かった。さらに,推定される83アミノ酸残基からなる神経ペプチドを大腸菌の組換えタンパク質発現系を利用して産出し,その脳室内投与がニワトリヒナの摂食行動に及ぼす影響を調べた。その結果,本神経ペプチドは卵用鶏の摂食行動を抑制するが,肉用鶏の摂食行動には有意な影響を及ぼさないことが明らかになった。本研究から,新規遺伝子の翻訳産物と推定される神経ペプチドは,家禽の摂食行動を調節する新たな脳内因子である可能性が示された。

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