黒大豆ポリフェノールの抗酸化作用と血流改善作用  [in Japanese] Effects of Black Soybean Polyphenol on Antioxidant and Blood Flow Improvement  [in Japanese]

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高血圧や糖尿病,脂質異常症,肥満などに加え,最近話題のメタボリツクシンドロームなど,様々な生活習慣病により,血管内皮機能が低下する。これらの疾患は,食生活の欧米化にともなう栄養バランスの偏りや,日々の運動不足が原因であると考えられている。血管内皮機能が低下した状態が長く続けば,動脈硬化の悪化,さらにはプラーク(粥腫)の不安定化を引き起こし,最終的には脳卒中や心筋梗塞などの重篤な疾患につながる。血管内皮機能の低下はまた,血流不足の原因にもなり,冷え症や肩凝りなど,普段自覚する身体症状にも深く関与する。しかし,この動脈硬化の初期段階である血管内皮機能の低下は可逆的であるため,血管内皮機能の低下した状態を早期に発見し,さらにはその機能を高める介入をすることができれば,動脈硬化の予防につながると考えられる。また,酸素を呼吸する生物の体内では,吸収した酸素の1~2%が活性酸素になると言われている。その他にも我々は空気汚染や紫外線,薬物,喫煙等によっても活性酸素による酸化ストレスに晒されている。肌の老化からアルツハイマー病やガンなどの重篤な病気まで,活性酸素の影響はきわめて大きなものであり,一説には全ての疾病の85%に活性酸素が関与していると言われている。当然,血管内皮細胞もまた酸化ストレスによる傷害を受け,血管の収縮拡張を調節する一酸化窒素(NO)の産生が低下(または不活化)することで,血流の不足が生じる。あるいは血中のコレステロールが酸化LDLとなり動脈硬化の原因となる。そこで体内の活性酸素による酸化ストレスを制御することが,健康を維持する上で大変重要になってくる。酸化ストレスから体を守るため,あるいは老化を防止するためには,食品から抗酸化作用をもっ成分を摂取することが非常に効果的であると考えられる。以上の理由から,我々は,生体内で抗酸化作用を発揮し,血管内皮機能を改善する機能性食品を開発する意義があると考えている。古来より食されてきた黒大豆は,生薬として利用され,漢方の書物の中には様々な効能を有すると記されている。特にその血流改善効果(活血)については,複数の書物(神農本草経,補欠肘後方,張文中)に見られる(第1表)。また実際に黒大豆の煮汁の摂取により血流の促進,高血圧や狭心症が改善したという臨床報告もある。黒大豆の煮汁を飲むことが血液の循環に良いことは民間療法としても広く知られるものであり,当社が一般消費者に対し行なったアンケートでも,黒大豆の健康効果で最も連想されるのが「血液をサラサラにする」効果であった。しかしながら,黒大豆の血流改善効果,あるいはそのメカニズムに関する科学的なエビデンスはほとんどないのが現状である。また,「本草綱目」には,大豆には黒色,白色,黄色,褐色,青色,まだらの数色があるが,黒色のものだけが薬として用いられる,とある。黒大豆は種皮の色を除いては,基本的には他の大豆と変わるところはなく,つまり上記の薬学書に記されたさまざまな薬効は,種皮の色素成分に由来すると考えられる。この色素成分は,アントシアニン,プロアントシアニジンを主な構成要素とするポリフェノール類であり,黄大豆の種皮にはほとんど含まれない(第2表)。ポリフェノールは優れた抗酸化作用を持つ物質であり,血流改善効果だけでなく,様々な生理活性が期待される。しかし黒大豆に含まれるポリフェノールは非常に水溶性が高く,煮豆や納豆などの形態へと加工する過程で,その大部分が流出してしまう。そのため,我々が通常食するような方法では黒大豆ポリフェノールを効率よく摂取することが難しいと言える。そこで我々は,確実に黒大豆ポリフェノールを摂取することができるように,食品素材としての黒大豆ポリフェノールを開発した。

Journal

  • 日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan

    日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan 108(6), 413-419, 2013-06-15

    日本醸造協会

References:  19

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    10031177039
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN10034389
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    REV
  • ISSN
    09147314
  • NDL Article ID
    024706784
  • NDL Call No.
    Z17-416
  • Data Source
    CJP  NDL  IR 
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