表面波伝播シミュレーションにおける粒子法の精度評価

  • 武川 順一
    京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻
  • 三ケ田 均
    京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻
  • 後藤 忠徳
    京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Accuracy of a particle method for modeling of Rayleigh waves
  • ヒョウメンハ デンパ シミュレーション ニ オケル リュウシホウ ノ セイド ヒョウカ

この論文をさがす

抄録

複雑な地表面形状を有する地盤モデルに対して,精度よく地震波伝播シミュレーションをおこなうことは,物理探査の分野だけでなく地震防災や土木分野においても重要なことである。現在,rotated staggered grid (RSG) を用いた差分法 (FDM-RSG) により任意形状の地表面を導入することは容易であるが,十分な精度でそれを実現するには波長の長さに対して十分細かい格子を設定する必要があり,実際の地形を考慮した地震動シミュレーションをおこなうには多くの計算機資源を必要とするのが現状である。一方,粒子法による地震波動伝播シミュレーションも近年おこなわれており,自由境界条件の導入の容易さなどから表面波伝播シミュレーションに適用されてきているが,その精度に関してはまだ詳細に検討されていない。そこで本研究では,粒子法の一種である Hamiltonian particle method (HPM) を用いた表面波伝播シミュレーションをおこない,解析解や差分法による解と比較することでその精度を詳細に検討し,表面波伝播の再現性に対する粒子法の優位性を示す。<br>  解析モデルとして等方均質弾性体の半空間を設定し,Lamb の問題を解くことで解析解との比較をおこなう。自由表面が規則的な粒子・格子配置に沿って設定されているとき,粒子法・FDM-RSG による結果は解析解とよい一致を示した。しかし,自由表面と格子配置がある角度を持って設定されているとき,すなわち階段状に地表面を設定したとき,FDM-RSGでは解析解との誤差が大きくなった。一方,粒子法による結果はFDM-RSGによる結果よりも誤差は少なく,比較的精度よく表面波伝播を再現できることがわかった。また,振源周波数と伝播距離がどのように精度に影響するかも調べた結果,粒子法はFDM-RSGよりも少ない粒子数でより遠くまで精度良く表面波を再現できることを明らかにした。<br>

収録刊行物

  • 物理探査

    物理探査 66 (2), 85-95, 2013

    社団法人 物理探査学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (33)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ