網羅的解析により診断された耳小骨奇形を合併したミトコンドリア3243変異例

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  • A case of mitochondrial A3243G mutation accompanied by ossicular malformation

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抄録

ミトコンドリアDNA3243A>G変異(以下m.3243A>G)は、その表現型が多彩であり、診断が困難となることがある。今回我々は、母系遺伝が疑われず、耳小骨奇形を合併したm.3243A>Gの1例を報告する。症例は47歳女性。母方の祖父に難聴、母に糖尿病、母の妹に糖尿病と難聴を認めた。幼少時より両難聴を指摘され、18歳時に鼓室形成術にて左耳小骨奇形と診断された。その後、44歳時に行われたミトコンドリアDNA変異網羅的解析により偶然m.3243A>Gが検出された。本症例の左難聴は33歳時の再手術後に再々増悪を示していたが、本遺伝学的検査結果は難聴に対する治療方針の決定や糖尿病の早期治療に有用であった。m.3243A>Gの診断においては、他の耳疾患の合併や病歴上の遺伝様式にとらわれず、糖尿病などの合併症が埋没していないかを念頭におき診療にあたることが重要な点と考えられた。

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