人工内耳装用児の構音

  • 葛西 聡子
    北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科
  • 武市 紀人
    北海道大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 小原 修幸
    北海道大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 西澤 典子
    北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科
  • 玉重 詠子
    北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科
  • 福田 諭
    北海道大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Speech production in prelingually deaf children with cochlear implants: Formant analysis of japanese vowels
  • ―母音のフォルマント周波数に関する検討―

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抄録

要旨: 人工内耳装用児の母音構音に着目し, 5母音の第1フォルマント (F1), 第2フォルマント (F2) の解析を行なった。その結果を人工内耳以前のろう ・ 難聴児の先行研究と比較検討した。/a/は健聴児のF1, F2分布領域に位置するものが多く, ろう ・ 難聴児の結果と一致した。しかし, その他の母音では健聴児のF1, F2分布域を逸脱するものがあり, その逸脱に一貫した傾向は得られなかった。1症例は5母音全てが健聴児のF1, F2分布域内に分布したが, 他3名は5母音のうちいずれかが健聴児の分布域内からの逸脱があった。5母音のF1, F2の上限値と下限値の比について見ると, 健聴児ではF1の上限値/下限値は1.5~2倍と健聴児に関する先行研究と差がない結果であったが, F2の上限値/下限値は健聴児が約3倍あるのに対して, 人工内耳装用児は1.5~2.2倍であり, F2値変動域の狭小化が示された。これらの結果より, 人工内耳装用児は, ろう ・ 難聴児同様に舌運動範囲が小さくなっていることが示唆された。

収録刊行物

参考文献 (30)*注記

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