米国穀物輸出産業の市場構造とその変化  [in Japanese] Market Structure of the U.S. Grain Exporting Industry and Its Changes  [in Japanese]

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Abstract

米国の穀物集荷産業についても市場構造に関する公刊データが存在しないため,先行研究においては,各流通段階の穀物保管施設(エレベータ)の保管容量データに基づき,市場シェアが算出されてきた。磯田は1975,1980,1985,1992,1997年の港湾エレベータ等の企業数および市場シェアを示し,1992年までと比較して1997年の集中度が増大したことを指摘するとともに,川下部門の寡占化が川上部門に伝播していったことを明らかにした。一方,内山・西嶋は2000年から2010年までの各年について,アイオワ州におけるエレベータの市場シェアの変化を企業系列ごとに示している。これらの既存研究は,市場構造に関するデータの入手が困難な中で具体的な数値を示している点で意義がある。しかしながら,磯田では年次データや1990年代末以降のデータが提示されておらず,市場構造のより詳細な推移や近年の動きをとらえることができない。また,内山・西嶋ではアイオワ州の詳細な分析が行われているが,全米規模の動態を把握することができない。さらにこれらの既存研究には,市場構造の指標が企業数や市場シェアに限定されていること,地域差が考慮されていないこと等の問題もある。他方,米国の穀物輸出を対象とした市場成果の分析としては,中島およびNakajimaが挙げられる。中島は米国産トウモロコシの日本に対する輸出過程における価格伝達の非対称性に関して計量経済学の手法を用いて実証分析を行い,1990年代後半までは価格伝達の非対称性は存在しなかったが,1990年代末以降は米国の穀物輸出企業が超過利潤を保持するような非対称価格伝達へと変化したことを明らかにした。また,Nakajimaは米国の大豆輸出における市場支配力(マーケット・パワー)の程度およびその変化に関して残余需要モデルを用いた計量経済分析を行い,米国への大豆輸入依存率の高い日本やメキシコに対し,米国は特に1990年代末以降,市場支配力を有していたことを実証した。こうした市場成果の実証分析は,統計学や計量経済学に基づき,数量的に価格伝達や市場支配力の程度を導出することができる点で意義があるが,そうした市場成果をもたらす背景や要因については直接分析することができない。本稿では,米国の穀物輸出産業の競争状態や企業行動の背景を理解し,既存の市場成果に関する実証研究との関連性を分析するため,同産業の市場構造とその変化について,全米を対象とした1987年から2010年までの年次データを用いて明らかにすることを課題とする。同時に,主要輸出港の市場構造についても検討し,比較分析することで地域差を考慮した分析を行う。以下,第II節では本稿で使用するデータおよび市場構造に関する指標の集計方法について説明し,第III節では地域ごとに集計された市場構造指標を提示して分析を行う。最後に,第IV節で結論を述べ,政策的含意を導出する。

Journal

  • Japanese Journal of Farm Management

    Japanese Journal of Farm Management 51(2), 108-113, 2013-09-25

    The Farm Management Society of Japan

References:  7

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    10031195803
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN00200823
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    ART
  • ISSN
    03888541
  • NDL Article ID
    024904392
  • NDL Call No.
    Z18-1079
  • Data Source
    CJP  NDL  J-STAGE  JASI 
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