働くことの意味に関する国際比較研究 : 5カ国の大学生の比較

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タイトル別名
  • The Meaning of Working for University Students : An International Comparative Study
  • ハタラクコトノイミニカンスルコクサイヒカクケンキュウ : 5カコクノダイガクセイノヒカク

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抄録

本研究は、MOW国際比較研究の一環として、日本・台湾・中国・オーストラリア・デンマークの大学生の“働くこと”に対する意識・態度を比較したものである。調査対象者は、各国の大学生1678人であった。主要な結果は、次の通りであった。(1)日本の学生の「仕事中心性」は、5カ国の中で低いほうであり、最も高かったのは中国の学生であった。また、日本の学生がレジャーを最も重要と考えている点は、他国の学生と比べて大きな特徴である。(2)働くとに対して、中国の学生は、日本の学生とは違ったイメージを抱いている。すなわち中国の学生は、働くことを社会貢献として捉えているのに対し、日本の学生は、自己に課せられた仕事として把握している。(3)中国や台湾の学生は、“働くことは義務であり、人は働いて社会に貢献すべき”という義務規範を強く支持している。一方、日本の学生は、権利規範を支持する度合いが強く、職場の確保や教育・訓練は、社会や雇用者側によってなされるべきであると考えている。(4)いずれの国の学生も、働くことから得られるものとして、「必要な収入」や「興味・満足感」に高い価値を与えている。中国の学生は、他の4カ国の学生よりも「社会貢献の手段」として価値づけている。(5)仕事と余暇の関係について、日本では、“余暇のための仕事”と考える学生の割合が、“仕事のための余暇”と考える学生の割合を上回っている。また、“趣味に合った暮らし”を望む学生の割合が、他の4カ国よりも高い。(6)職業選択の基準として、日本・台湾・中国では“適性”を重視する学生が多い。日本の学生は“やり甲斐”を重視する者も多いが、仕事(職業)に対して、明確な目標や期待を持っている学生は少ない。本研究の結果から、とくに日本と中国の学生の間で、“働くこと”に対する意識に対照的な違いが見いだされた。今後は、両国の学生の意識の構造について分析を進めていく必要があろう。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174789411968
  • NII論文ID
    110000055219
  • NII書誌ID
    AN00054674
  • DOI
    10.15017/265
  • HANDLE
    2324/265
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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