副腎皮質ステロイド治療中の潰瘍性大腸炎に重症水痘を合併した1例

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抄録

症例は19歳男性で,潰瘍性大腸炎のため副腎皮質ステロイド剤投与中に腰部激痛を訴え入院となった.入院翌日に小水疱が出現したため,水痘疹と考えアシクロビルの投与を開始し,副腎皮質ステロイド剤を減量した.しかし,入院後3日目には血小板が低下,FDP上昇,GOT,GPTが上昇し,播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝炎を併発した重症水痘感染と思われた.メシル酸ナファモスタットとヘパリンナトリウムおよびアンチトロンビンIII製剤の投与を開始し,濃厚血小板輸血も行った.これにより血小板数,凝固能ともに改善し,GOT,GPTも低下した.また副腎皮質ステロイド剤を減量した後も排便回数の増加や血便は見られなかった.副腎皮質ステロイド剤使用中に水痘などの感染症に罹患した際には重症化することがあり,ステロイド痤瘡により水痘疹の発見が遅れ,早期に治療が開始出来ないとさらに予後不良となることがあるので留意を要する.

本文データはCiNiiから複製したものである。

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