特殊鉄源中のタリウムの産状と分析について

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タイトル別名
  • Study on the Occurrence of Thallium Compounds in Special Iron Resources and their Chemical Analyses
  • トクシュテツ ゲン チュウ ノ タリウム ノ サンジョウ ト ブンセキ ニ ツイテ

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抄録

type:Article

Thallium compounds can be found in the ore of pyrite, galena, and in cinder or dust of sulphuric acid manufacturing practice. We tried to analyse them with thiourea perchlorate method and get a result of 0.015 to 0.006% Tl in our iron resources.

微量元素を含む特殊鉄源を1~5%の硫酸で浸出した残液を12時間以上放置すると,針状結晶が出たが,その本体について普通の定性分析を行なってもその元素が長期間確かめられなかった。然しその後独乙の工業塩を使うラーメン工場では,Tlを研究しているとの事を聞き,それを確認することが出来た。元来タリウムは硫化鉄鉱,方鉛鉱,雲母中に存在し,その主原料となるものはTlの高い硫化鉄鉱,煙灰,煙室泥,へルシヨフ炉の煙灰,グロパー塔泥,cd残渣,鉛溶鉱炉の煙灰や黒鉱等である。わが国に於いては硫酸製造時の焼鉱即ち特殊鉄源より抽出の研究なく,煙灰中よりタリウム回収について松原,桑原両氏引が発表している。金属便覧によると某鉱山で昭和20年1月より8月迄の間約25kg生産したと記されているが,わが国で盛んに抽出している元素ではない様である。此の用途は化合物としては殺鼠剤,外科用医薬,脱毛剤等に使われ,特に殺鼠剤としては世界で広く用いられている。金属としてはHgと合金させて-60℃迄の低温寒暖計,光学用ガラス,光電管,鉛の耐蝕性増加,鉛軸受の強度増加等に用いられる。従って著者等は焼鉱についてこの研究の必要を感じ着手したのである。

identifier:富山大学工学部紀要,23(1/2)

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