体育授業の「運動の楽しさ」に関する因子分析的研究

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タイトル別名
  • A Factor Analytic Study on the Joy of Exercise in Physical Education
  • タイイクジュギョウノ「ウンドウノタノシサ」ニカンスルインシブンセキテキケンキュウ
  • タイイク ジュギョウ ノ ウンドウ ノ タノシサ ニ カンスル インシ ブンセ

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抄録

大学生及び小学生を対象にして体育授業における運動の楽しさの因子を抽出し,その因子と個人的特性の関係を分析してきた。結果を要約すると,つぎのとおりである。1).大学生の楽しさの因子として13因子を抽出し,「運動の基本的欲求充足,競争,挑戦,人間関係,レクリエーション,自主的活動,スリル感,観戦・応援,進歩・向上」の9因子を解釈・命名することができた。2).小学生の楽しさの因子として14因子を抽出し,「挑戦,勝利感,創造的活動,賞賛,健康,競争,集団活動,観戦・応援,スリル感,自己実現」の10因子解釈・命名することができた。3).大学生では男女とも「運動の基本的欲求の充足,人間関係」の因子に楽しさを感じる程度が高く,そのほか,男子は「競争」,女子は「レクリエーション」に高得点がみられた。性差がみられる因子としては,「スリル感,進歩・向上,競争」では男子が,「人間関係,レクリエーション,観戦・応援」では女子に,それぞれ楽しさを感じる程度が高かった。4).小学生では男女とも「勝利感」で楽しさを感じる程度が高かったが,そのほか,男子は「自己実現,スリル感」に,女子は「集団活動,健康」に高得点がみられた。性差がみられる因子は「勝利感,競争」では男子が,「集団活動,観戦・応援」では女子に,楽しさを感じる程度が高かった。5).週平均のスポーツの実施程度が多い大学生は男女とも「人間関係」に楽しさを感じる程度が高く,そのほかリ男子では「挑戦,自主的活動,進歩・向上,競争,スリル感,運動の基本的欲求充足」に高得点がみられた。6).過去に体育部に所属した経験のある大学生は,男女とも「スリル感,競争」に楽しさを感じる程度が高く,そのほか男子では「挑戦,自主活動」,女子では「運動の基本的欲求充足,人間関係」に高得点がみられた。現在,体育部に所属している大学生は男女とも「人間関係,自主的活動」に楽しさを感じる程度が高く,そのほか男子では「挑戦」,女子では「観戦・応援」に高得点がみられた。7).大学生ではサークル所属,体力,運動の好き嫌い,体育実技の受講コースなどの個人的諸特性によって運動の楽しさを感じる程度が異なっていた。8).小学生ではクラス別,サークル所属によって若干の因子に差がみられたが,運動の好き嫌いでは好意的態度が多く,各因子に顕著な差は認められなかった。附記,本研究は日本体育学会第29回大会及び九州体育学会第28回大会で発表した。なお集計にあたっては九大健康科学センターの吉川和利氏にご尽力頂いた。調査に際しては田島(現笹丘)小学校西嶋恵二校長,津留崎 瞳教諭をはじめ6年生のクラス担任の先生にご協力頂いた。ここに記して深く感謝の意を表します。

収録刊行物

  • 健康科学

    健康科学 2 75-90, 1980-03-30

    九州大学健康科学センター

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