樹液飲用の文化誌 : 伝統的利用と技術(予報)

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  • ジュエキ インヨウ ノ ブンカシ デントウテキ リヨウ ト ギジュツ ヨホウ

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抄録

果実に含まれる液体を飲用したり、河川や泉から噴出する水を飲料するのは、人類に限らず、動物界にもごく普遍的に見られる事象である。しかし、のどの渇きをいやしたり、人間の用途を満たすためにどの樹種を利用すればよいか、また窮場をしのげるかを認知し、あるいは、ある樹種の樹液を伝統的に飲用する習慣をもつのは人間社会に限られる。しかも休眠から目覚めた何種類かの樹木は、導管の液圧が高まるために人為的に樹幹や樹皮を傷つけると、ある期間、多量の樹液を浸出する。この溢泌現象(bleeding exudation)と、分泌される樹液に糖分が含まれることを経験的に発見し、それを飲用し、加工の手を加える文化にまで築きあげたのは、人類の優れた英知と捉えてよい。しかし、野生ないしは栽培植物の樹液を採集して飲用する文化は日本では、ごく一部の地域だけに限られていて、馴染みがうすい文化である。イタヤカエデやシラカバなどの樹種が産出する樹液を飲用する文化をもつ韓国での現地調査(2001年3月11日~15日と2001年8月7日~8月10日)を踏まえ、樹液を利用する事例と採集活動の現況を報告する。そして今後の本調査につながる資料等を提示し、採捕がもつ生態人類学的側面と意義を考察するための手がかりを得るのが本研究の目的である。

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