広島市安佐南区の近郊農村における混住化の進行

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タイトル別名
  • The Social Structure of “Rurban Villages” in Hiroshima Metropolitan Area, Japan
  • ヒロシマシ アサミナミク ノ キンコウ ノウソン ニ オケル コンジュウカ ノ
  • The Social Structure of “Rurban Villages” in Hiroshima Metropolitan Area, Japan

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抄録

広島市の近郊の1村落を事例に,混住化に焦点を当て,多様な住民から構成される地域社会の構造とその特色について考察を行なった。当地域は,1970年代以降の人口流入により,スプロール的に都市的土地利用が拡大した。その際,農家は集約的農業,不動産経営あるいは通勤兼業をする層に分化することにより,都市化に対応した。筆者は,住民属性と地域社会との関連を明らかにするため,アンケート調査に基づき,地域集団・地域行事への参加率および地域への意識における住民属性間の有意差の検定を行なった。その結果,新・旧住民間の大きな差異とともに,両者の内部差異も認められた。内部差異の要因として,旧住民では農業経営形態新住民では定住意志の有無が重要であることが明らかになった.また,この分析により,旧住民については,集約的農業経営農家層,通勤兼業農家層と非農家層,新住民については,定住層と流再転居予定層の各類型が得られた.混住化の進行した地域社会では,少数派である集約的農業経営農家がりーダーシップをとることが多い.とくに,自治組織と伝統的地域行事を維持するためには,彼らの存在は不可欠である.このため,集約的農業経営農家が存在する限り,近郊農村は都市化や混住化が進行しても,村落の自治組織の機能と伝統的地域行事は維持されるといえよう.新住民と旧住民は地:域的利害関係において対立することが多いが,このなかにあって,子供会は祭りや地区運動会の準備をとおして,両者間の交流を促進<br>させている.

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参考文献 (4)*注記

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