民族紛争と国民国家建設 - インドネシアの地方分権と西カリマンタン州の不良開発を例に -

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タイトル別名
  • ミンゾク フンソウ ト コクミン コッカ ケンセツ インドネシア ノ チホウ ブンケン ト ニシカリマンタンシュウ ノ フリョウ カイハツ オ レイ ニ
  • The Ethnic Conflict and Nation State Building: The Case of Indonesian Decentralization and Mal- Development of West Kalimantan

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抄録

冷戦終了後1990年代は、それまで抑圧されてきた諸民族の権利主張が噴出し、民主化の下での多民族国家のあり方が改めて問われることになった。インドネシアにおいても、1998年のスハルト政権崩壊後、各地の地方騒擾は収拾のつかない規模で拡大してきた。本稿は、西カリマンタン州を例に地方騒擾の質はどうなっているのか検討する。インドネシア31州中、アチェとイリアンジャヤ(パプア)の2州を除く大部分の州は、独立という方向では動いていない。州人口の4割を占める先住民であるダヤック人の伝統的共同体は組織的に破壊されてきたが、それは国家による抑圧だけではなく、国民教育や近代化、生活水準の向上、高学歴層の公務員化といった潮流に若い世代が取り込まれていくインドネシア国家の高文化の浸透という脈絡でもとらえる必要がある。現在進行中の地方分権化も中途半端ではあるが、その不満は反中央ではなく、新たな国民国家の枠組みに向かっている。

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