王安石の詩における唐詩の受容について

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  • オウ アンセキ ノ シ ニ オケル トウシ ノ ジュヨウ ニ ツイテ

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抄録

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北宋・王安石は若年期から唐代詩人の作品を好み、二種の詞華集と杜甫の詩集を編纂しているが、その背景には北宋中期に唐代詩文のテクストが諸人によって再発見され、整理されていった状況が存在している。王安石は特に杜詩の、森羅万象の様態を捉えその生成の機微に踏み込もうする迫力を高く評価していた。また儒教的倫理性を重視する風潮の中にある王安石ら北宋期の士大夫たちの杜詩愛好は、その詩風のみならず、杜甫の儒数的志向に注目したものであったと考えられる。また晩年の王安石の詩には、杜甫ら先行詩人の詩句を剽窃的に使用した例があり、また多くの「集句」詩も制作されているが、これは先行詩句の剽窃的使用を極限にまで進めたものと考えられる。古人の作品を味読することを通じて、詩句そのものの剽窃を超えた新しい表現を模索するこのような詩作態度は、後の江西詩派の掲げる「奪胎換骨」的手法の先駆と考えることができるのではないだろうか。

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