貿易競合度と実効為替レート

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  • ボウエキ キョウゴウド ト ジッコウ カワセ レート
  • Trade competition and real exchange rates

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Abstract

標準的な最適通貨圏の理論によれば, 産業構造や輸出品目の類似する国々では非対称的な需要・供給ショックの可能性が小さくなり, 通貨統合に伴うマクロ経済コストは小さくなる。また, 輸出市場において強く競合する国々では生産者が自国通貨と外国通貨の為替変動に敏感になり, 共通通貨政策や通貨同盟への政治的支持も強まると考えられる。近年の東・東南アジアにおける為替レート政策協調や通貨同盟への機運の高まりには, 極端な為替変動がもたらすマクロ経済の不安定化への懸念に加え, 域内諸国の工業部門の発展による輸出競争の激化も作用しているものと思われる。国民経済間の貿易競合度は相互の輸出入金額の多寡や輸出品目の類似性などによって測られることが多いが, これらが各国の総合的な対外競合関係を把握する上で適切な指標といえるかどうかは疑問である.本稿では, 輸出入品目の用途や第三国市場における競合関係なども考慮した貿易競合度指標を考案し, 東・東南アジア10カ国を対象にその試算を行う。また, これらの指標を用いて1990年代以降のアジア諸国の対外競合関係の変容を概観し, その試算値をウェイトとした実効為替レート指標の作成も試みる。

Journal

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 105 (4), 1-48, 2005-03

    大阪市立大学経済学会

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