遷延性植物状態の不可逆性について

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タイトル別名
  • Persistent or permanent vegetative state

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抄録

1972年、Jennet & Plumは外的刺激に対する反応の欠如する状態の継続する脳障害の患者について、PVS(persistent vegetative state)と命名した。かれらはこの状態は継続するが、永続性(permanent)か、不可逆性(irreversibk)であるかは断言できないとして遷延性(persistent)という語を用いた。しかし今日、意識障害が12ヶ月続いた場合には不可逆的である(Multi-society task force on PVS, 1994,英国Bland事件判決etc.)とし、PVSに対し、permanentを用いる識者が散見される(Mason, 1996.Truog, 1997)。また「PVSにおいては大脳皮質の機能はpermanentに喪失している(institute of medical ethics 1991)」などの記述が見られ、それが植物状態からの栄養補給の停止の根拠とされることがある。しかし不可逆性はあくまで経験的なものであり、100%担保されたものではない。勿論、不可逆性が担保されないからといって、正確な知識に裏打ちされたliving willや、医療資源の問題からの医療中止の議論が成り立たないことはなかろう。しかしpermanentという語は、living willなどの作成時などに誤解を招き、不適当と考える。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 8 (1), 47-51, 1998

    日本生命倫理学会

参考文献 (12)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679462804736
  • NII論文ID
    110001236924
  • NII書誌ID
    AN10355291
  • DOI
    10.20593/jabedit.8.1_47
  • ISSN
    2189695X
    13434063
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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