TOPMODELによる山地小流域の長短期流出解析

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タイトル別名
  • Long- and Short-Term Runoff Analysis in a Small Mountainous Basin Using TOPMODEL
  • TOPMODEL ニ ヨル サンチ ショウリュウイキ ノ チョウタンキ リュウシュツ カイセキ

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抄録

近年、流域の物理性がある程度考慮され、集中定数型と分布定数型それぞれの特徴が組み合わされたモデルとして、準分布定数型貯留モデルであるTOPMODELが注目されている。TOPMODELは、地下水貯留部の水収支は集中定数型として扱い、地表流出および地下水涵養までを含めた表層および土壌部分は分割されたグリッドごとに分布定数型として扱うという特徴を持つ。すなわち、地下水は集中定数型の特徴である単純な構造で表し、流水網を形成する地形や、時空間的に変動する流出寄与域については分布定数型モデルのパラメータで表現される。TOPMODELの特徴は、DEMから計算される地形指標をもとに、流域表装土壌の空間的な乾湿状態を計算し、地表流の発生を空間的に算定できる点にある。本研究では、御手洗水試験流域(流域面積0.0095Kmm)を対象とし、山地小流域の長短期流出解析におけるTOPMODELの適用可能性の検討を行った。7個の未知パラメータの最適値検索には単純GAを用いた。検討の結果、単純GAによる最適値探索で得られたパラメータを使用することで、ハイドログラフの低位部から高水部までを良好に再現可能であり、山地小流域の長短期流出解析にTOPMODELが有効であることが明らかになった。 なお、本研究で検討したTOPMODELでは、流域が乾燥状態にあるときに少量の雨が降った場合、計算ハイドログラフに流出の上昇波形が出現しないという問題点が見られた。これは、①根群域の水収支に用いられた蒸発散位の過大評価、②流域の表層土層厚は流域内で一様でないにもかかわらず、TOPMODELの根群域の計算および関連パラメータは流域内の全グリッドで共通としていること、③河道降雨の影響、などが考えられたがこれらの点は今後の課題としたい。

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