糖尿病における尿中酵素測定の臨床的意義

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  • Clinical Significance of Urinary Enzymes in Diabetes Mellitus

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抄録

糖尿病における尿細管障害の有無を臨床的に検討するために, 外来患者102例(A群)の空腹時来院時尿および入院患者23例(B群)の24時間蓄尿の尿中酵素(NAG, ALP, LAP, γ-GTP)を測定し, 各種検査項目との関連性を検討した. その結果, 1)A群の尿中酵素では, NAG高値例が42.2%と最も多かった. 重回帰分析の結果, NAGはHbA1c, 年齢, 尿蛋白と, 他の3酵素は尿中β2-microglobulinとの関連が認められた. 2)B群では, 87%がNAG高値であるのに比し, 他の3酵素の上昇例は少なく, ほとんどが腎症合併例であった. また, ALP, LAP, γ-GTPには互いに相関が認められたが, NAGと他の3酵素間には相関がなかった. 糖尿病におけるNAG上昇は, その局在性より糸球体上皮細胞と近位尿細管上皮細胞のlysosomal dysfunctionを反映し, ALP, LAP, γ-GTP上昇は腎症による尿細管障害, 即ちbrush border damageを反映していると推察された.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 12 (2), 197-205, 1990

    学校法人 産業医科大学

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