食道憩室を伴う先天性食道気管支瘻の1治験例

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タイトル別名
  • A Case of Congenital Esophago-Bronchial Fistula with Diverticulum in the Adult

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抄録

まれとされている食道憩室を伴う成人の先天性食道気管支瘻を経験した.症例は27歳,女性で主訴は飲水時の咳嗽である.中学生のころより飲水時むせることが多かったが,27歳時上腹部不快感,嘔気を覚え,食道胃透視を受け食道気管支瘻の診断を受けた.食道内視鏡所見上,胸部中部食道に憩室が存在し,その中央に瘻孔の開口部を認め,この奥に気管支粘膜がみられた.同部を生検し多列繊毛上皮を認めた.手術所見上,瘻管は胸部中部食道と右B^7気管支の間に存在し,直径1cm,長さ3cmであり,その周囲には炎症性癒着やリンパ節の腫大は認めず,剥離は容易であった.切除標本はほぼ全体が憩室であり,重層扁平上皮から繊毛上皮への移行部は確認されなかったが,内視鏡所見および内視鏡的瘻孔生検所見を加味し,移行性は十分に推測された.以上より成人の先天性食道気管支瘻のうちBraimbridge分類のI型と診断した.

収録刊行物

  • 日消外会誌

    日消外会誌 23 2094-2098, 1990

    一般社団法人日本消化器外科学会

被引用文献 (3)*注記

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