放射線腸炎の病態と外科治療法

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タイトル別名
  • Pathophysiology and Surgical Treatment for Radiation Enteritis

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抄録

教室で過去17年間に入院手術した放射線腸炎23例につき解析を行った. 1) 患者は手術時期により, 照射後1年前後の早期手術群 (16例) と, 10年以上の晩期手術群 (7例) に二分された. 2) 症状によっても, 腹痛, イレウス中心の小腸狭窄型 (14例) とテネスムスや下血が主体の直腸炎型 (7例) に二分され, 穿孔性腹膜炎が2例あった. 症状と手術時期の相関は認めなかった. 3) 施行術式は, 広範小腸切除・吻合 (13), 貫通術式 (3), 直腸切断 (2), バイパス術 (2), 腸瘻 (3), であった. 貫通術式のうち2例に吻合部の狭窄を認めたが, 広範小腸切除後の腸吻合では全症例で狭窄も縫合不全も認めなかった. 放射線腸炎の手術にあたっては, 障害腸管を十分に切除し, 健常部での吻合が望ましい. これにより術後の合併症や後遺症はむしろ軽減する. すなわち小腸では大量切除吻合術, 直腸では亜全摘・貫通術式が推奨される.

収録刊行物

  • 日消外会誌

    日消外会誌 26 2803-2808, 1993

    一般社団法人日本消化器外科学会

被引用文献 (9)*注記

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