術前診断しえたWinslow孔ヘルニアの1例

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  • A Case of Intestinal Herniation Through the Foramen of Winslow

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抄録

症例は63歳の男性.上腹部激痛を主訴に当院救急外来受診し,腸閉塞の診断で入院となった.腹部単純X線写真立位像では,胃小彎側,第12胸椎および第1腰椎に重なる鏡面像と第1腰椎右方で途絶する小腸ガス像が認められ,注腸造影にて,回腸が回盲部より約10cmの部位で横行結腸を乗り越え,その口側が第1腰椎の右側で閉塞するという所見が得られたため,Winslow孔ヘルニアによる腸閉塞と診断し緊急手術を行った.回腸がWinslow孔から網嚢内に嵌入しており,嵌入回腸間膜はWinslow孔部で絞扼され腸管は壊死に陥っていた.嵌頓していた腸管は約70cmであり,両側健常部を含め切除した.Winslow孔ヘルニアの本邦報告は著者らが渉猟した範囲では16例のみであり,術前診断は困難とされている.今回,腹部単純X線写真および貴重な注腸造影所見より術前診断が可能であったWinslow孔ヘルニアの1例を経験したので,本邦報告例の集計とともに報告する.

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