落葉広葉樹数種における実生及び萌芽稚樹の物質分配特性 : 樹形の機能に関連して

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タイトル別名
  • Dry Matter Partitioning in Seedlings and Sprouts of Several Deciduous Broad-leaved Tree Species : with Special Reference to the Functions of Tree Architecture
  • 落葉広葉樹数種における実生および萌芽稚樹の物質分配特性--樹形の機能に関連して〔英文〕
  • ラクヨウ コウヨウジュ スウシュ ニ オケル ミショウ オヨビ ホウガ チジュ

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抄録

森林の更新過程を解明する上では,前生樹の生育特性の把握が重要である.本研究では,森林の更新過程に大きく寄与していると考えられる実生椎樹および萌芽椎樹の物質分配特性を比較し,萌芽という現象に伴う内的要因の変化により,個体の生育特性がどのように変化しているかを解析した.エゴノキ,コハクウンボク,アワブキ,ホオノキおよびサワルグミについて,個体の各器官の量的分配とサイズから簡単な指数を用いて,水分通導,支持および同化という樹形の3機能を評価し,樹種毎に実生および萌芽椎樹における樹形の生態的意義の比較を行った.一般に,萌芽では実生と比較して物質経済の有利性を犠牲にしながら非同化器官の比率を増加させる傾向がみられた.特に小型葉で仮軸分枝型の種であるエゴノキおよびコハクウンボクの実生では,大型葉・単軸分枝型の種であるアワブキおよびホオノキに比べて,同化効率と支持効率が高い“待機型(肥大優先型)”の生育特性を持っており,萌芽することによって,大型葉・単軸型の種の樹形でみられた同化・支持効率の低い“競争型(伸長優先型)”へ生育様式を移行させていることが明らかとなった.これらの結果は,萌芽の母樹の既存の根系の働きに支持されているものと考えられた.

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