風倒木被害発生と立地及び林分構造との関係解析

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  • The Influence of Topographic Factors and Stand Structure on Wind Damage Occurence
  • フウ トウボク ヒガイ ハッセイ ト リッチ オヨビ リンブン コウゾウ ト

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抄録

1991年9月の17,19号台風で九州の林業地域では甚大な風倒木被害を受けた.そこで,その被害の実態を立地因子,林分構造因子に着目して解析し,その結果に基づいて育林と保続の側面から検討を加えた.対象地は大分県にある九州電力(株)社有林の約1800haであり,解析資料の収集には被害発生前後の航空写真,森林基本図及び森林調査簿を用いた.得られた資料を数量化Ⅰ類と主成分分析によって解析した.これらの資料の解析によって,次のような結果が得られた.被害は空間分布で見てみると,局部的に集中して発生していた.また,被害発生に大きな影響を及ぼしている因子は,林分構造上では樹冠直径の変動係数であり,立地上では斜面方位であった.具体的には,樹冠直径の変動係数が大きくなるほど被害が発生しやすく,南向き斜面の林地で被害が発生しやすいことが認められた.しかし,個々の被害発生林分の空間的位置とその被害強度を具体的に予測することは不可能であることが明らかになった.以上の結果から,まず,育林面について,被害発生をなるべく抑えるために樹冠直径のばらつきを小さくするように間伐すべきであり,南向き斜面には経営目的との整合性及び他の気象害や生物被害への耐性を考慮した上で,耐風性の高い樹種や品種への転換が望ましいことが示唆された.次に,保続面については,被害発生という突発的な自体をも,なるべく定常的に処理できるような保続経営方式の案出が必要であることが示唆された.

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