前頭皮質ドーパミン代謝に及ぼす麻酔中の侵害刺激および Preemptive analgesiaの影響

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タイトル別名
  • Effect of noxious stimulation on dopamine metabolism in the prefrontal cortex during anesthesia and preemptive analgesia

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抄録

脳微小透析法を用い, ラットに対する侵害刺激が前頭皮質にどのような影響を与えているか, AMPA/KA受容体がいかに関与しているかを検討した. また preemptive analgesiaの影響も検討した.<BR>実験1: イソフルラン麻酔下のラット前頭皮質に透析膜を挿入し, 人工髄液を連続的に灌流させた. 回収した人工髄液は50分間貯留し, 高速液体クロマトグラフィーでドーパミンおよび DOPACの量を測定した. 実験群は電気刺激単独群, CNQX+電気刺激群(人工髄液に CNQX 50μmolを加えたものを用いた群)の2群について行い, 左足背部電気刺激前後のドーパミン代謝の変化を比較した. その結果, 電気刺激単独群ではドーパミン量は減少した. CNQX+電気刺激群も減少したが, その減少率は電気刺激単独群よりも大きかった. DOPACに変化がなかったことより, この変化はドーパミン代謝促進ではなく, 産生減少に起因することが示唆された.<BR>実験2: 第1・2腰椎間より硬膜外腔にカテーテルを挿入し, 第3腰椎付近に先端がくるように留置し, 実験1と同様に透析膜を挿入した. 実験は電気刺激単独群, 硬膜外麻酔+電気刺激群, 硬膜外麻酔群の3群について行った. 電気刺激単独群は硬膜外腔に生理食塩液を投与し, 10分後より電気刺激を左足背部に与えた. 硬腹外麻酔+電気刺激群は硬膜外腔に塩酸リドカインを投与し, 10分後より電気刺激を与えた. 硬腹外麻酔群は硬膜外腔に塩酸リドカインを投与し, 電気刺激を与えなかった. 測定は硬膜外腔への薬剤投与前50分間を対照値とし, 刺激開始後50分間と比較した. 電気刺激単独群では実験1と同様にドーパミン量が減少した. しかし硬膜外麻酔+電気刺激群は対照群と比べて差がなく, 硬膜外麻酔を併用することによりドーパミン量の減少が抑制できた. また硬膜外麻酔群ではドーパミン量の変化はなかった. DOPACは3群とも有意な変化はなかった.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 59 (3), 244-251, 1996

    大阪歯科学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (18)*注記

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