細胞毒性評価に与える金属同士の組み合わせの影響

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タイトル別名
  • Effect of metal couples on cytotoxicity evaluation

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抄録

本研究では動的接触下にあるチタン, Ti6Al4V合金および316Lステンレス鋼を種々に組み合わせて得た抽出液が細胞生存率へ及ぼす影響を検討した. 実験は組み合わせ, 旋回速度および円柱状試料の直径を変えて円板状試料上で円柱状試料を回転させることによって動的抽出を行い, 得られた抽出液および濾液についてニュートラルレッド法にて細胞生存率を調べた. その結果, 旋回速度が240rpmではいずれの組み合わせにおいても対照群と同等であり, すべての条件において細胞生存率に有意差は認められなかった. しかし, 旋回速度が260rpmになると, 円柱状試料の直径に関しては, 6mmよりも8mmのほうが細胞生存率の低下が大きく, 組み合わせ間で細胞生存率に差が認められるようになった. 円板状チタンでは, 円柱状チタンあるいは316Lステンレス鋼の組み合わせにおいて, 細胞生存率は70%前後であった. しかし, 円柱状Ti6Al4V合金と組み合わせた場合, 細胞生存率の低下を示した. 円板状Ti6Al4V合金の場合は, いずれの円柱状試料との組み合わせにおいても細胞生存率は30%以下であった. 円板状316Lステンレス鋼との組み合わせでは, 円板状チタンにおける組み合わせと同様な傾向を示した. また, いずれの組み合わせにおいても抽出液と濾液の細胞生存率に差は認められなかった. 以上の結果より, 旋回速度あるいは円柱状試料の直径を変化させることによって金属間の組み合わせによる細胞生存率の相違が認められ, 本試験法が材料間の動的接触を考慮した試験法として有効であることが明らかとなった.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 62 (1), 19-27, 1999

    大阪歯科学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (33)*注記

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