Expression and localization of MMP-3 and TIMP-2 in the temporomandibular joint of osteoarthritic mice(変形性関節症マウス顎関節におけるMMP-3とTIMP-2の発現と局在)(大阪歯科大学大学院歯学研究科博士(歯学)学位論文内容要旨および論文審査結果要旨の公表)  [in Japanese]

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Abstract

顎関節における変形性関節症(以下OAと略す)は退行性病変の一種であり, 顎運動障害などの機能障害, クリック, ロック, クレピタスあるいは顎関節部の疼痛を発現することがしられている.また, OAの進行に慢性炎症が関与するということは知られている.しかし関節破壊を引き起こす炎症構成要素については明確には証明されていない.一方, Matrix metalloproteinase(以下MMPと略す)は正常軟骨基質の代謝回転において重要な役割を演じる酵素の一つであり, さらにTissue inhibi-torsof metalloproteinase(以下TIMPと略す)と呼ばれる特異的なインヒビターで制御されることが知られている.そこでOA動物モデルの一つであるICRマウスの顎関節におけるMMP-3とTIMP-2の発現と局在を組織学的および免疫組織化学的手法とImmunoblotting, さらにEnzymographyを用いて検索し, OA顎関節における関節破壊機序の解明を試みた.実験方法 実験動物にはICRマウス雄性マウス40匹を用い, 4週, 8週, 16週および32週齢の4群(1群10匹)に分けた.各週齢ごとに安楽死させ, 4%Paraformaldehyde溶液にて灌流固定を施し, 顎関節部を摘出し, 通法により光顕試料を作製した.3μmのパラフィン切片を作製したのち, HE染色, Toluidine blue染色, および抗MMP-3ならびに抗TIMP-2抗体を用いた免疫染色を行った.一方, 顎関節を摘出し, 軟骨と滑膜関節円板複合体として分離したものを試料として, Gelatin zymogra-phyを行い, さらにWestern blottingも行った.なお, Immunoblottingの結果についてはNIH Imageにて濃度を定量し, Kruscall-Wallis rank sum testにて各群間の統計解析を行った.結果および結論 組織学的観察では, 高週齢で下顎頭軟骨の変形と亀裂が認められた.また, Toluidine blue染色では高週齢で軟骨表層の染色性が低下していた.免疫組織化学的観察では高週齢で関節軟骨表層の軟骨細胞周囲と関節円板の軟骨様細胞の周囲でMMP-3およびTIMP-2陽性像が観察された.下顎頭が変形し軟骨細胞が集合している部位でもMMP-3およびTIMP-2陽性像が確認された.また変形をきたしている部分出はMMP-3陽性TIMP-2陰性の細胞も認められた.滑膜表層でも高週齢でMMP-3およびTIMP-2陽性像がみられたが軟骨を裏装している骨では変化は認められなかった.Enzymographyでは活性型MMP-3に相当すると考えられる46kDaの位置で幼少期の軟骨において反応がみられた.Immunoblottingでは活性型MMP-3(46kDa)および潜在型MMP-3(54kDa), TIMP-2(24kDa)と活性型MMP-3との複合産物と思われるサイズ(70kDa)のバンドがそれぞれ検出された.また, TIMP-2はさまざまなサイズで複合体が検出された.Immunoblottingでは加齢に従いMMP-3はともに増加したが, TIMP-2は軟骨では減少し, 滑膜と関節円板では増加した.これらの結果から滑膜, 関節円板および関節軟骨でMMP-3は産生されていることが示唆されるとともに, 関節軟骨においてMMP-3とTIMP-2のバランスが週齢を重ねるごとに崩壊し, このことがきっかけとなってICRマウス顎関節における変形性関節症が発症, 進行していくことが示唆された.

Journal

  • Shikaigaku

    Shikaigaku 63(2), 65-66, 2000

    Osaka Odontological Society

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