土壌中の施肥アンモニア態窒素有機化量の推移に関する土壌間差異

• 西尾 隆

  中央農業総合研究センター

• 荒尾 知人

  中央農業総合研究センター:(現)農林水産省技術会議事務局

書誌事項

タイトル別名

• Difference in the Amount of N Immobilization among 4 Soils Treated with ^15N-Labelled Ammonium Sulfate
• ドジョウ チュウ ノ セヒ アンモニアタイ チッソ ユウキカリョウ ノ スイイ ニ カンスル ドジョウ カン サイ

抄録

畑土壌に施用したアンモニア態窒素の有機化に関する土壌間差を明らかにするために,硫酸アンモニウムを添加した土壌の長期インキュベーションを行い,有機化量の経時的推移を求めた.典型淡色黒ボク土,多腐植質厚層黒ボク土,細粒質普通灰色低地土,細粒質台地黄色土の4種類の土壌に対して,重窒素標識硫酸アンモニウムを200mg N kg^-1或いは2000mg N kg^-1添加して実験を行った.また,重窒素同位体希釈法を用いてそれぞれの土壌の無機化,有機化,硝化速度の測定を行った.土壌中にアンモニア態窒素が残存している条件下では,2種の黒ボク土の有機化速度は,灰色低地土や台地黄色土よりも速かった.硫酸アンモニウム添加量2000mg N kg^-1の時には,総ての土壌で180日後になってもアンモニア態窒素が残存していたため,2種類の黒ボク土で有機化量がアンモニア態窒素施用量の5.2%となったが,台地黄色土では1.4%であった.しかし,硫酸アンモニウム添加量200mg N kg^-1の場合は,台地黄色土以外の土壌はアンモニア態窒素がほぼ20日以内に硝化されてしまったために,窒素有機化量が施用量の3%前後だったのに対し,台地黄色土では最後までアンモニア態窒素が残り,有機化量は施用量の12%以上まで到達した.重窒素同位体希釈法で求めた土壌の有機化速度と,長期インキュベーション実験で土壌にアンモニア態窒素が残存した期間との積をとると,同実験の最終的な重窒素標識窒素有機化量と,良い相関関係が得られた.また,アンモニア態窒素が残存する条件下では,窒素有機化量がバイオマス窒素の値を超えても,なお有機化量が単調増加してゆくことから,いったん微生物に取り込まれた窒素が,死菌体残さ,空の胞子等として残ったり,或いは腐植化したりしている可能性が考えられた.

収録刊行物

• 日本土壌肥料学雑誌

  日本土壌肥料学雑誌 73 (5), 493-499, 2002

  一般社団法人 日本土壌肥料学会

キーワード

• 窒素有機化
• 重窒素標識硫酸アンモニウム
• 硝化
• 土壌型

詳細情報

• CRID: 1390001206557439104
• NII論文ID: 110001746644
• NII書誌ID: AN00195767
• DOI: 10.20710/dojo.73.5_493
• ISSN: 24240583
• ISSN: 00290610
• NDL書誌ID: 6325711
• Web Site: https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010660969
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I6325711
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • IRDB
  • NDL
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可